「Interdisciplinary(分野を超えて新しいものを生み出し)」、「Share Your Real Experience(個人の実体験を共有する)」
Tokyo

U100 Initiativeは、「世界の建築を、ミニマムエネルギーで快適な、100年建築に変えていく」というミッションを元に設立されました。U100は、「Under 100W/㎡」(1平方メートル当りの熱負荷を100W以下に)と、100年保つ建築の「Up to 100 Years」の両方を意味しています。
U100 Initiativeの主要な目的の一つは、サステナビリティに関する最新の知識を共有し、建築・不動産業界のプロフェッショナルの方たちの間での対話の場を提供することです。2024年3月5日に都内で開催された初のイベント、Workshop2024.03では参加者はサステナブルな建築・不動産に関するワークショップと、分野を超えたネットワーキングが行われました。
01
開会の挨拶
代表:金田真聡
はじめに、U100 Initiative代表の金田真聡から、今回のWorkshop2024.03のコンセプトが、「Interdisciplinary(分野を超えて新しいものを生み出す)」ことと、「Share Your Real Experience(個人の実体験を共有する)」の2つであることが伝えられました。
ドイツ建築業界が歩んできた道のり
ベットヒャー氏の動画はこちらからご覧ください。
02
インタビュー動画上映
オラフ・ベトヒャー氏 ドイツ空間・都市・建築研究所
ドイツ建築・都市・空間研究所(略称BBSR)のオラフ・ベットヒャー氏へのインタビュー動画が上映されました。テーマは「ドイツ建築業界が歩んできた道のり」です。
日本では「ドイツの建築は先進的である」と考えられがちですが、ベットヒャー氏が強調したのは、ドイツで長い時間をかけて対話が繰り返されてきたことです。遠回りに見えても、そうした対話こそが社会の方向性を強め、経済成長にもつながっていることを伝えてくれました。
03
ゲスト・プレゼンテーション
ペーター・メッセ氏
不動産事業・ プロジェクト開発・大学講師・ インベスコアジャパン
ドイツのESG不動産開発

ドイツで不動産事業を行うペーター・メッセ氏からは「ドイツのESG準拠不動産開発」というテーマで基調講演をいただきました。
ドイツをはじめとする欧州では、環境経済政策に基づいて、建築物のエネルギー効率を高め、化石燃料の使用を削減することが推奨されています。それにより、省エネ性能の高い建築物は不動産価値が高くなり、販売価格や賃料に反映されるようになっています。
ドイツでは既にエネルギー効率の高い建物の販売価格と賃料が高くなる傾向にあることが伝えられました。そして、次世代の投資家や購入者はエネルギー効率の良いESG準拠の建物を求めており、不動産市場における重要なトレンドになっていることも語りました。
04
パネルディスカッション
・宇都宮 賢二氏(ファシリテーター/UGOH Inc. ファウンダー) ・岩田 隆志氏(株式会社フェア・アンド・スクエア 代表取締役) ・菊地 訓氏(旭化成ホームズ株式会社 CbAプロジェクト長) ・柳瀬 真紀氏(合同会社ウィリディスMEPエンジニアリング 代表社員) ・金田 真聡(U100 Initiative代表)
パネルディスカッションでは、建築、設備、不動産に携わる方たちと代表の金田とで、U100の意味やこの分野の課題について語り合いました。なおファシリテーターは、建築士出身で、現在はブランド・アーキテクトとして活躍されている宇都宮賢二氏に務めていただきました。
以下に各パネリストの発言の一部をご紹介します。
岩田 隆志氏
不動産を買ったり、借りたりする際に、ほとんどの方がイニシャルコストしか気にしません。でも、その間の光熱費や健康、快適性といったお金に換えづらい部分を含めると、どういうものを選択したらいいかが変わってきます。これからは不動産事業者も性能をアピールしてお客さんに選んでもらう機会が増えてくるのではないでしょうか。


菊地 訓氏
オーストリアのCREE社と共同で、日本にも建築の先端技術を導入できないか検討しています。現地の建物は日本とは空気感がまったく違うので、これはやらなきゃいけないことだと思いました。しかし、構造や耐火の基準が違うので、欧州のものをそのまま持ってくることができないのが、現在の課題です。
柳瀬 真紀氏
ZEBなどの環境性能に関するコンサルティグもしています。建設初期の段階から相談してもらえると計画的に取り組めるのですが、すでに形状もシステムも予算も決まっているけれど、後から認証を取りたいとなるとかなり難しいことがある。まずは早い段階で目標を決めて、そのためにはどうしたらいいかと逆算するプロセスを踏むことが大事だと思います。欧州ではそれができているように思います。


登壇者同士の対話だけでなく、リアルタイムアンケートを用いた会場との対話も行われました。特に、建築物の高性能化をめざす際に、他部署や他分野との共有ができていないと感じる参加者が多くいました。U100のネットワークは、まさにそうした課題を解消するためにできることをやっていく場であることも確認されました。
宇都宮 賢二氏
ファシリテーターを務めた宇都宮賢二さんも、「U100を通じて、建築分野とは異なる外の観点からのインプットをできたらいい」と総括しました。

05
ネットワーキング及び懇親会
その後、グループに分かれての意見交換とそれに続けて懇親会が行われ、参加者の皆さんは積極的に交流を深めました。

なお、イベント終了時に行ったオンラインアンケートでは、参加者の多くがリアルなワークショップやネットワーキングを希望していました。そのためU100 Initiativeとしては、今後も対面を重視し、分野を超えた対話の場を提供していく予定です。
レポート執筆:高橋真樹
ノンフィクションライター、放送大学非常勤講師。持続可能性をテーマに執筆。エコハウスに暮らす「断熱ジャーナリスト」でもある。著書に『「断熱」が日本を救う 健康・経済・省エネの切り札』(集英社新書)、『日本のSDGs -それってほんとにサステナブル?』(大月書店)ほか多数。エコハウスブログ「高橋さんちのKOEDO低燃費生活」(http://koedo-home.com/)、公式サイト(https://t-masaki.com/)

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